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2011年の干支は「卯」(うさぎ)です。

兎はその愛らしさから、器をはじめさまざまな美術工芸品の絵柄として

今も昔も親しまれています。

ふるくから兎と結びつけてデザインされることが多いのは、

月・波・木賊(とくさ)、あるいは野の草花。

こうしたモチーフの取り合わせには、それぞれ由来と伝統があります。

日本でもっとも古い兎の図案のひとつは、飛鳥時代の染織工芸品

「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」に見出せます。

円形の中に兎と樹木・薬(やく)壺(こ)が配されたもので、

月にある桂の木で薬を作る兎の図と解されています。

中国では古くから、太陽には三本脚の烏が、月には兎がすむといわれ、

月の兎は霊薬を搗(つ)くと考えられていましたから、

「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」の兎も

その伝説にもとづき描かれたのでしょう。

月の霊薬といえば、日本最古ともいわれる説話「竹取物語」でも、

月へ帰るかぐや姫は不老長寿の薬をのこしていったと語られます。

日本では一般的に月の兎は餅を搗(つ)く、と伝えられていますが、

搗(つ)くものといえば薬よりも餅が身近だったからでしょうか。

波と兎、木賊(とくさ)と兎の取り合わせは、月と兎からのヴァリエーションです。

水面に月が映る情景は、月の兎が波間を走る躍動感あふれる図案を生みました。

謡曲「竹(ちく)生(ぶ)島(しま)」にもうたわれる

「月海上に浮かんでは兎も波を奔るか面白の浦の景色や」の一節はよく知られています。

水に縁があることから火を防ぐとされたのでしょう、

波と兎のデザインは建築装飾にも見られます。

一方、木賊(とくさ)は砥草とも書き、その繊維は建築部材を磨くのに役立ちました。

冴え冴えとした月は「木賊でみがきあげたよう」と例えられ、

木賊(とくさ)は兎と縁深いモチーフとなったのです。

野の草花と兎の取り合わせは、もちろん兎が野にすむ動物であることも

ひとつでしょうが、「角倉(すみのくら)金襴(きんらん)」の影響もあったかと思われます。

安土桃山時代から江戸時代初期に活躍した貿易商・角倉了以(すみのくらりょうい)が

中国・明から持ち帰った織(おり)文様(もんよう)の布地で、

草花の根方にすわる兎の図案が、伝来当初から広く知られています。

有田のやきものは17世紀に始まりました。

その初期の姿を伝える出土品にも、三日月の光のもと軽やかに跳ねる兎の文様や、

野の草と丸くうずくまる兎の文様を見出すことができます。



「文・吉田さち子(学芸員)」



無題


文様の中でも「兎」は特に人気です。
普段何気なく見ているものでも、その歴史や意味を知ればまた愛着もわき、器生活も楽しいものになると思いませんか。

2011.07.26 / Top↑

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